第十三章

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「悪いけれど、落ち着いてくれないかな。私はこう云うの苦手なの、貴女が話さなきゃいけないのは私じゃないわ」 テーブルの伝票を掴んで立ち上がる私に、彼女が冷たい声で言い放つ。 「貴女は自分の会社の社長と付き合ってればいいじゃない!」 そうか…そこまで調べられていたのだ。 だからと彼女は私に会いに来たのだ、榊と蒼の事を切り札に持って… いたたまれない気分ではあったけれど、もう一度座り直して話す事もみっともない。 だいいち彼女に弁解する必要もない、こんなに周りの注目を浴びていてそのまま座って居られる彼女の事も信じられなかった。 きっと今の彼女は悲劇のヒロインに浸っているのだろう。 可笑しな話だが、そんな事の出来る彼女が少しだけ羨ましくもあるのかも知れない。
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