第十三章

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「佐野ですけど。ごめんね時間外だけどお願い出来ないかしら」 電話の向こうで少し困った声が聞こえる。しばらく返事があるのを待った。 「お久しぶりね、えりさん。私でも良ければ大丈夫よ、でも高くつくわよ」 「えっ、香純さんにお願い出来るんですか?」 「あら、ご不満かしら?」 何度も通うこのエステでも、オーナーである彼女に対応してもらった事は数える程しかなかった。 「また、そんな筈ないじゃないですか。手土産お持ちして二十分ぐらいで伺います」 タクシーの運転手にお願いして、途中路上で待ってもらう。 少々高く付くけれど、それはそれとして仕方が無い。 「ごめんなさい、無理お願いして」 「大丈夫よ、でもスタッフ達は帰しちゃうけれど良いかしら?」
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