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「佐野ですけど。ごめんね時間外だけどお願い出来ないかしら」
電話の向こうで少し困った声が聞こえる。しばらく返事があるのを待った。
「お久しぶりね、えりさん。私でも良ければ大丈夫よ、でも高くつくわよ」
「えっ、香純さんにお願い出来るんですか?」
「あら、ご不満かしら?」
何度も通うこのエステでも、オーナーである彼女に対応してもらった事は数える程しかなかった。
「また、そんな筈ないじゃないですか。手土産お持ちして二十分ぐらいで伺います」
タクシーの運転手にお願いして、途中路上で待ってもらう。
少々高く付くけれど、それはそれとして仕方が無い。
「ごめんなさい、無理お願いして」
「大丈夫よ、でもスタッフ達は帰しちゃうけれど良いかしら?」
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