第十三章

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「そう、それじゃ遠慮なく」 快適な室温、アロマの香り、夕陽を思わせる様な室内のオレンジがかった灯り。 安心出来る相手に肌を触れられるのは、どうしてこうも心地良いのだろう。 「随分疲れてるわね。ダメよ無茶ばかりしてたら」 私の顔を手のひらで包み込む風にして、仰向けに寝転ぶ頭の先で彼女の声が響く。 声のトーンまで計算された様にその言葉が身体に沁みてゆく。 「そうですね…」 深く話を聞くわけでもなく、私がリラックス出来る事に細心の注意をはらってくれている事が指先から伝わってくる。 背中にオイルが広がる頃には、すっかりとその心地よさに意識が途切れていた。
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