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「お呼びたてして申し訳ありませんでした」
「なんだ、いきなりそう真面目に出られると困るな」
「そうですか、まあ立場上そんな風が相応しいかと」
榊は寂しそうに笑いながら控えていたスタッフを呼んだ。
「何か美味しい泡と、適当に合わせて軽い食事を頼む」
いつもの雰囲気と違う事は察しているのだろう、彼女は細かな要望も聞かずに頭を下げて立ち去った。
「で、役員連中に引きとめられたんだって?」
「そうですね、思いも掛けませんでしたけれど。ああもずらりと並んで話をされると流石に揺らぎますね」
ふぅっと溜息をついて榊は私を見つめている。
「そうか…そりゃそうだな。お前は、そこ迄自分が評価されてる事に気が付いていなかった。やっぱ仕事は続けたいって事か?」
会話の隙を見計らう様に冷えたボトルが運ばれてくる。私も榊も無口なままで、グラスが満たされるのを見つめていた。
彼女が歩き去るのを待って、榊はグラスを持ち上げた。
「俺は仕事に勝てなかったって事かな。窮屈で敵わんな…」
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