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私が仕事に魅力を感じている事を榊は理解している。そして仕事を続ける事は榊との関係が終わると云う事だ。
答える術もないまま、グラス越しに榊を見つめるしか無かった。
「もっとも、俺が好きになったのは今のえりで…そんな風にしたのも俺なんだよな」
「そうかも知れませんね。あの時仕事を任されてからですね、こんな女になったのは」
榊は小さく肩をゆすって可笑しそうに答える。
「全くだな、あれが無ければとっくに嫁に行ってたかもな」
「そうかも知れませんね。ついでに言えば可愛気ももっと残ってたかも」
「難しいもんだな、人生なんてやつは全部手に入れたつもりで何にも残ってないんだからな。俺みたいにいい男が、どうしてこんな目に逢うんだ?」
「そうですね、いい男なのにね」
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