第十三章

9/40
前へ
/40ページ
次へ
馬鹿みたいに右往左往した一日は、振り返る気にもならない程の疲れを私に与えている。 深夜近くのバスルームでぬるめのお湯につかり睡魔と戦う。 こんな時でも代謝を上げる事を考えたり、肌の張りを気にしたりそれはオンナとしてのサガなのだ。 男は狡い、多少身の回りに気を遣わないでも結果だけが優先される。 仕事が出来ようが、メイクの剥げたオンナはそうした扱いにはならない。 「はぁ…それにしてもどうしたもんかねぇ」 漸く流れ出した汗は心地好いものの、何一つ先に進まない事に呆れてしまう。 いっそ全部捨てて海外にでも移住しようかなどと思いを馳せてみるけれど、南の島で青い海を眺める生活は三日で飽きそうだ。 カリフォルニアか何処かのワイン畑で働くのも良いかも知れないと考えても、結論が出る迄に数年かかる様なワイン造りが向いているとも思えない。 一体私は何がしたくて、今此処に存在しているのだろうか。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

525人が本棚に入れています
本棚に追加