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どうしようかと迷ったけれど、榊の携帯に電話を入れてみた。それほど忙しくしているのなら直に繋がることはないだろう。
「ああ、えりか…どうしたんだ?」
「ちょっと待ってください」
慌てて社長室から離れてフロアの隅へ移動した。今はプライベートの時間ではない『えりか…』あの榊がそんな風に電話に出る事などあり得ない。
「どうしたんですか!一体どこで何してるんですか。しかも、私の事をえりって呼ぶなんて三浦さんも一緒じゃないんですか?」
「なんだ、そんな事心配してたのか。悪いな、まだ部屋に居るからついな」
「部屋に居るって…ホテルに居るって事ですか?この時間に?」
「そう怒るなよ、遊んでるわけじゃない。資料を纏めてるんだよ、悪いな電話してると手が止まる。また来週にでも連絡するから」
素っ気無く電話を切るのは、榊が仕事モードでいるという事に他ならない。
誰にも頼らず自分で資料を纏める?あの榊が?
どうやら思っている以上に榊の行動は並々ならぬ事なのだと思えた。
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