第十五章

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榊の指が、開けてやれと云う風にドアを指差す。横柄なBOSSの態度は、今がビジネスの延長の時間である事を感じさせる。 私としても、正体を誤解していた三浦と会いやすかった。ゆっくりドアへ近づいて、三浦を迎え入れた。 「佐野さん、いらしてたんですか」 三浦は普段と変わらない笑顔で私に声をかけながら、肩越しに榊の表情を確認していた。 どうやら私が此処にいる事を三浦は理解していなかったのだろう。いつも見かける三浦は、地味なダークスーツにきっちりとネクタイを締めていた。 今日の三浦は少しだけお洒落なスーツにノーネクタイ姿で、普段より明るい印象に感じる。 「おはようございます、社長」 「ああ、おはよう。昨日はお疲れだったな」
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