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テーブルを挟んで榊の向かいに座った三浦の表情は、ちょうど私から見えない角度でどうやら榊に目配せで何かを確認している様子だった。
私から見える榊の顔が、大丈夫だと云った風に頷くと、三浦が振り向いて私に声をかけた。
「佐野さん、此方に座りませんか、色々と聞きたい事もおありでしょう?」
三浦に促される様にして、四角いテーブルの空いた一方へ座る。
三浦の態度や言葉遣いはいつもの通り丁寧なものだけれど、これまではわざと自分の存在を控えめに演出していたのだと思わせるような存在感があった。
「少し驚きましたよ、三浦さんが社長と組んでいたなんて」
「社長、佐野さんにどこまで話されたんですか?」
「合併の事と、これからお前と組むって事だな。新しい仕事の事はまだ話してない、俺よりお前のほうが説明は上手いからな。あっと…悪い、成り行きで大学の事までは話ちまった」
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