第十五章

18/34
前へ
/34ページ
次へ
「端的に言えば、榊社長が会社の持ち株を売却した資産でのプライベートファンドの設立です。但し一般的なファンドとは少し違うものになります」 三浦の説明は淡々と続いた、時折話のテンポを緩めたり、確認するように話を中断して私の理解を確認した。 頭の良い明瞭な説明だった、完璧に組まれた設計図を全体図からミニマムに向かって伝える。 簡単そうでおいそれとは出来ない芸当だと感じる。榊が天性のひらめきと感性で物事を進めるのとは、正反対のタイプだと思えた。 通常のファンドはそのリターンを上場などの際に確保する。もしくは相当な利益を出さない限りリターンは見込めない。 例えば株式の買取で会社の大株主として収益を上げる手段もあるけれど、その際には現実として経営を監視する事にもなる。 そうした事を考えれば、プライベートファンドは非常に難しいものだと思えた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

506人が本棚に入れています
本棚に追加