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けれども榊の清々しい表情には納得できないものがある。一から創り上げた会社を手放す事に感傷は無いのだろうか。
「寂しくないんですか?会社を手放すって…私にはわかりませんけれど」
一瞬、ほんの一瞬だけ榊の表情が曇った気がする。それでも次の瞬間には愉快そうに口を開く。
「多少な、寂しくはあるさ。けどなあ、此処のところ窮屈で仕方なかった。お前だって知ってるだろ?」
「それはそうですけど。社長なんて、そうしたものじゃないんですか」
「そうだな、だから我慢したんだけどな。もう良いだろ、俺が居なくても仕事は回るさ」
「現場を離れて会長職って遣り方も、有ったんじゃないですかね?」
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