第十七章

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『一着だけドレスも持って来いよ、後はラフな服で良いからな』 榊にそう告げられて、大きめのキャリーに荷物を詰め込む。 止まっているから余計な事ばかり考えるのだ、動き回る事が性にあっている。 「蒼くん、ちょっと出掛けるから暫く会えないかも」 「ん?そうなんだ…実家でのんびりしてるの?」 「ちょっとロスまで行ってくる。仕事しないとね」 「ふぅ~ん…そうかぁ。まあ、僕の事は忘れないでね」 「バカね…」 少し真面目なトーンで蒼が囁く… 「愛してるよ、えりさん」 「ありがと…」 我ながら、狡い答えだと思う。それでも、嘘はつけない。
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