510人が本棚に入れています
本棚に追加
榊は晴美さんとの事をそんな風に告げた。私にしても返す言葉が見当たらなかった。
「ふぅ…なんだか俺も聞きたくなるな」溜息の後榊が呟く。
榊に問いかけておいて私が答えない訳にはいかないだろう。無言で居ながらそう覚悟した。
「まあ、止めておくさ。なあ、メシでも喰いに行こうか?籠もっているのも性に合わんな」
榊の手が私の頭をポンと叩いて、勢いよくベッドから立ち上がった。榊の本音はわからない。
聞く事が単に嫌だったのか、私を気遣ったのか…どちらにしても良い男なのだ、と思う。
「そうですね、美味しいお店に連れていってください」
「バカ言え。そうそう美味いもんなんかあるもんか。なにしろ俺でさえ飽きあきするぐらいのボリュームと大雑把さだからな。繊細って言葉が無いんじゃないかと思うぞ」
愉快そうに笑いながらバスルームへと消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!