第十九章

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「そうですね。俊介さんが休まないと三浦さんも休めませんよ」 「三浦なぁ…あいつも休む事を知らない奴だからな。たまにはそうするさ、その代わりお前も付き合えよ。休んでなにするかも思いつかんからな」 「そうですね。誘っていただければ喜んで」 「そうか…じゃあ、そうしよう」 椅子に座ったまま榊は大きく伸びをした。それからゆっくりと深く息を吸い込んでいる。 「それにしても、気持ち良いものだな。若ければ海に飛び込んでるかもな」 「ですよね。私は流石に日焼けが怖いですよ」 「そんなものか?」 「そんなものですよ」 「なあ、歳をとるのも悪くないな…」 榊が砂浜を歩く老夫婦を見つめながらそう呟いた。七十過ぎだろうか、手を取り合ってのんびりと散歩をしている。 どちらがどちらを支えるでもなく、お互いに歩調を合わせてゆっくりと歩いている。 何処かに目的地があるわけでもないかも知れない。きっと彼らには、今そうしている事こそが目的なのだろう。 榊は飽きもせず、その光景を見つめて微笑んでいた。そうした事に微笑みを浮かべる榊の姿は新鮮でもある。
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