第十九章

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朝から抱き合った感触は、着替えて外に出れば薄れてしまう。 昼日中の明るい日差しに照らされていながら、もう一度榊を全身で感じたいとふしだらな思いがよぎって恥ずかしくなった。 「今日はこれからどうしますか?」 心の声に照れ隠しするようにそう言ってみる。榊の返事は意外にすぐ返って来た。 「やってみたかった事があるんだけどな。付き合ってくれるか?」 「構いませんけど、何ですか?」 榊は照れた風に笑い、席を立つと私の手をとって店を出る。 「何処に行くんですか?」 「まあ、付いて来いよ。確か近くに店があったと思うんだ」 店がある…買い物にでも行くのだろうか?相変わらずのんびりと二人でストリートを歩いた。着いたのは水着を置いてある小さなショップだった。 「もしかして、やりたい事って海で泳ぐとかですか?」 「ああ、いや違うんだ。テラスに小さなプールがあるだろ」
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