第二十章

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随分と深い眠りに堕ちていたようで、目覚めは快適だった。夢を見た記憶すら無い。 PCを開いてメールをチェックする。美里さんからの短いメールと幾つかの資料が届いている。 此れまでに手掛けた案件と内容、そうした簡単な資料だった。大手から名前も知らない企業まで、よくこれだけのネットワークが構築できたものだと感心する。 もちろんその陰にはジョイの人脈も当然あるのだろう。それでもそうした事を如何に有効に使えるかは手腕でしかない。 珈琲を淹れてテーブルに座る。レポート用紙を取り出して、やらなければいけない事を片っぱしから書き出していく。 思いつく限りの事をとにかく書き出して、それらをカテゴリ別に仕分けする。 更にその紙に細かい事柄まで書きこんでゆく。そうする事で物事の全体像や粗が見えてくる。 『イメージだよ。イメージの出来ない奴が多すぎるんだ』 榊はいつもそんな風に言っていた。私もその通りなのだと思う。
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