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「ちょっと!きいていますの?海堂君!!カッコつけている場合じゃなくてよ!佇んでいないで席に…」
『高木さぁ~、』
敦がキイキイと突っかかる愛子の声に負けないくらい大きい声で、声をかぶせて彼女を呼んだ。
ピクッとの愛子の勢いがとまり、彼女は眉を八の字にして何か言いたげな目をしてこっちを見つめた。
『お前、メガネ外したら?折角の可愛い顔が隠れて台無しになってんよ?』
「えっ…、なっ!」
そういって、フッ、と笑って敦はまた出口のドアに向かって足を進めた。
出て行く際にヒラヒラッと右手を2・3回振って出て行ってしまった。
先ほど発言していた女子生徒が、
「やっぱり、掴めない所が素敵。…」
などと呟くと、すかさず愛子は、
『ふ、ふざけたことを言わないで!さあ、何を見ているの?文化祭の案出しの続
きをやるわよ!そこに立っている貴方も、早く先ほどの続きの発言をしなさい!
いつまでもダラダラと話し合う時間は私たちにはなくてよ!」
っと、掴めなかった敦の飛び火を、何の関係もない立っていた彼女に向けた。
そして何事もなかったかのように、愛子はクルリッと身体を黒板に向けると、先
ほど話し合っていた内容をスラスラと書き出し始めた。
姿勢をピンっと伸ばして、すらっと立っている愛子の横顔を副委員長は見つめていた。
彼女のメガネ下の頬がほんのり赤ずんでいることに、副委員長は気付かずにはいられない。
「ちょっと、副委員長!貴方も何ボサッと見ているのよ!貴方は進行をしていなさい、私は今から皆さんが出してくれたこの意見を書き出して、まとめるんですから!」
『はっ、はい!』
副委員長は慌てて我に返り、姿勢を正し直して委員会のメンバーに向かって進行を始めた。
「~っ、何なのよ、この変な感覚…」
そう呟きながら、愛子は黒板に次々と皆のだした意見を書き出し、まとめていった。
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