第2話

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俺、海堂 敦 17歳と、月島 美海 12歳の出会いは、 俺が、中学2年生の13歳の誕生日を迎える6月頃の事─ 送り梅雨が続き、ジメジメするような気持ちが晴れない季節。 やる気もない─夢もない、 毎日が同じように過ぎていくことにウンザリしていた 中学校の下校帰り。 たまには、いつもと違う道から帰って見ようかと、 回り道をして帰っていた途中、何やら公園の方で騒いでいる子供たちの声が、 雨音と混ざって聞こえてきた。 この雨の中─、いったい何をしているのだろうなんて 特別、気になったわけではなかったが、 別に急いで帰宅する理由もなかったので、 退屈しのぎに公園の中を通って帰ることにした。 公園の入り口から声のする方へ、ぬかるむ土を踏みしめて足を進めると、 小学生の男の子3人の内の1人に傘を奪われてしまったらしく、 《返して!》と叫び続けている黒髪ショートカットの女の子が見えた。 それが、小学1年生にあがりたての6歳の 美海 という女の子だった。
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