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後ろから小学一年生には有るまじき、そのブヨブヨとした贅肉の厚みのある右手
を、すかさず止めて、
『次に、このこに何かするようなことがあれば、俺は、黙っていないよ?』
そういいながら、その太い手首をギリギリと思い切り握り締めた。
「いっ~てぇ~!!」
プクリとした頬を小刻みに震わせ叫び声をあげてもやめようとはせず、動じない
凛とした眼差しで、
他の物静かそうに一見、見える小柄な少年と、生意気そうに髪がワックスで整え
られた髪が薄茶色の少年にゆっくりと目線を向けた。
冷ややかな目線のまま、口元を少し緩めて敦は、一人ずつ少年と目線を合わせ
て、
『まずは、全員、このこに謝ってもらおうか。』
そう低く穏やかな声で言った。
上に右手を振りかざしたまま、手首を掴まれている少年は、
顔を下に向けて耳を真っ赤にして「離せっ離せ!このっ」っと、
身長180近くある、敦の足元で叫んでいた。
そんな少年に耳を貸すそぶりも見せず、敦は、
『謝るんだっ!!』
っと先ほどよりも大きく力ある声で叫んだ。
先ほどから黙り込んで、捕らえられたリーダーらしき少年の痛そうにしかめて
俯く頭を見つめていた少年たちは驚いて、
一瞬肩をこわばらせたが、2人は顔を見合わせて黙り込んだ後、
「ごめん、やりすぎた。」
っと呟いて、しゃがみこんでいる美海に向かって頭を下げた。
そして、太った少年に向かって、
「わり─な、俺たちは下りるわ!」といって、足早に公園の外へと走って逃げて
いってしまった。まだ、自分のしたことに責任も感じず、
どうせ面白半分に関わっていただけなのだろう。
きっと、あの二人は美海のことをそんなに目の敵にするほど、気にかけてはいな
かったのだ、っと敦は思いながら逃げていく二人の後ろ姿に目をやった。
手首を掴まれている少年は、
「離せ、このバカ力ヤロ─!!あいつらも~ふざけやがって!この俺様にっ!!
あいつら!!」と敦に向かって叫んでいた。
『君は?このまま警察に突き出すのなんてどうだろう?君の親も泣いて怒るだろね。まさか、この歳で警察なんてね。可哀想に。』
そう冷ややかに言って、少年を睨んだ。
『さあ、どうしてほしい?』
ギリギリと、先ほどよりも力を強めて敦は言った。
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