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「~痛いっ、わかった、わかったよ!もうしない、しないよ!あ~、腕がっ折れる!」
『俺の親がねっ、運のいいことに警察の中でも偉い人間だからね。』
<警察 偉い人間>という言葉を敦が出した瞬間、坊主頭がピクッと反応して敦
を見つめた。
『すぐに君たちの人生に汚点をつけられるんだよね、よく覚えておいてね。
次は、ないからな?』
そういって敦が掴んでいた少年の右の手首をパッと離すと、少年は右手首を擦り
ながら重い表情を浮かべた。
少し小学生に揺さぶりをかけてみたのだ、小学生は警察や親に言われることに弱
いのではないかと。
案の定、この少年も眉をしかめて困ったような顔を見せている。
「俺、捕まるのか?」
先ほどの強気な態度はどこへいってしまったのか、がたいのいい少年は、急に弱
弱しい声で敦に聞いた。
『…さあ?君の今後の態度次第かな』
敦は冷めた目つきで、少年の歪んだ顔を見つめて言った。
「もう、もうしないよ。こいつが、こいつが暗い顔でずっと教室の隅にいたか
ら、少しからかってやろうと思っただけで…。
別にこんな奴どうでもいいんだ!見逃してくれよ!!警察なんて、俺まだ小学生
だし!母ちゃんに怒られるに決まってるよ…」
『さて、どうしたものかな。』
「見逃してくれよ!俺はこんなことで人生だめにしたくないんだ、頼むよ!何で
もするから!!」
『…君は、まず、このこに謝るのが先じゃないのかな?』
「やっ、その。ごめん、悪かったよ…もうしない。しないよ…ほんとごめん。」
シドロモドロな口調で口を開いた後、
少年はキョトンと見つめていた美海に向かって、会釈程度のお辞儀をしながら謝った。
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