幸せのカタチ

28/28
487人が本棚に入れています
本棚に追加
/247ページ
「私にたびたび謝ってくるのよね。」 「美鈴さんを見てると思い出すんだと思う」 「...そうか」 数ヶ月前にナオの帰国が決まり、 慌ただしく新居を見つけて やっと2人の生活が始まった。 険しかったナオの表情も すぐにいつもの、穏やかなナオに 戻って行った。 本人曰く、“極度の沙織不足”だったとか... お兄ちゃんと美鈴さんには、もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 「美鈴さんの健診のたびに仕事休んでるよ」 「はは マサさんらしいな」 RRRRR 私の携帯が鳴る。 「はい、あ、どうもー」 私の笑顔で、ナオもつられて笑った。 「はい、わかりました!行きます!すぐに!」 「ナオ、衣装できてるって!見に行こう?」 通話が終わるとナオに向き直り、 少し興奮して言う私の手を引いて 触れるだけのキスをすると、 ナオが立ち上がった。 「よし、行くか」 2週間後に、私たちの結婚式をする。 この日が、待ち遠しくて でもまだこのドキドキを感じていたくて どうしようもなく甘い日々が幸せで、 手が届く場所にいるナオをそっと見つめて 「沙織ー 行くぞー」 「まっ 待って!」 どうか、この幸せがずっと、続きますようにと こっそり祈りながら 愛しい人の背中を追いかけた。 end.
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!