九番目の交響曲

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再び作業に戻り、マウスを動かしていると、デスクの上のケータイが震えた。 「もしもし…?」 口元を手で覆い小声で出る。 相手は今日のセッティング役の1人、大学時代の女友達、ユカだ。 『あ、紅平? 今日ちゃんと来るよね? 女の子側で1人ドタキャンが出ちゃってさー。 こっちじゃ代役見付られなくてさ、あんた女友達多いでしょ? 誰か代わりに来れる子いないー?』 勢い良く大きな声に顔をしかめてしまう。 「行けるように頑張ってこっちもギリギリなのに、ンな、代役探しなんてできねーし。 無理無理」 元々ダメ元で聞いたのだろう。 『あっそう、ならいーや。 じゃ、後でね』 そう言って電話は切れた。 「できました!」 出発予定時刻5分前。 プリントアウトした図面の分厚い束を差し出す。 「へぇ、すごいね。 どれどれ…」 篠村さんは少し目を見開いた後、図面を受け取り目を通し始めた。 なんとか間に合ったー! そして、 「よぉし、オッケー! …正直終わるって思わなかったよ」 そう言ってニッコリ笑った。
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