嘘って吐いたら、返ってくるんですね。

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社会科の教科室に着いた。教科室はそれぞれ複数あるけど、資料が多いからなのか世界史用になっているこの部屋は他より幾分か広い様だ。 「あの机の上に置いてあるのが課題だよ」 「そうですか、この課題って…っ」 部屋の奥の方にある机に近付きテキストに手を伸ばした時に、はっとした。気付いた時には既に遅く、机越しに素早く手を掴まれる。 「新見…隊長っ…」 机の奥には、新見隊長と副隊長、長谷部先輩が潜んでいた。 カチャリ、と背後で鍵を閉められた音がする。 俺の親衛隊と萌木の親衛隊、それに風紀の一名が関わっているのはわかっていたけど、まさか、蛭沼先生まで絡んでいたとは…… 「天海様が……いけないんですよ。 今まで通り、誰の手にも届かない存在でいてくれたら……それで、よかったのに…っ! 鷹司や、萌木なんかの接近を…許すから…!!」 新見隊長の目は、完全に光を失いーーーー嫉妬や憎悪に染められていた。
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