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「あ、ごめんね、 じっと見ちゃって、 ……椎名さんがあんまり 可愛いからさあ」 「え……っ」 さらに怯えた目になって 後ずさる。 「ああ、ごめんごめん、 椎名。こいつ、いつも こんななんだ。 襲いかからないから大丈夫。 ――じゃ、今日は 俺って事でいいよね、下校」 「え、あ、うん。 ――じゃ、よろしくね。 何か不明点があったら 携帯鳴らして」 「あいよー。んじゃ、また明日」 引き継ぎを済ませると、 椎名萌はもう一度私に 会釈をして階段に消えた。 田辺はその姿を見送ってから、 じろ、とわたしを見下ろした。 「――お前。いらない詮索眼で 椎名を観察してただろ」 「え?」 「余計なことすんなよ。 ……そっとしといてやれよな」 田辺はそう言うと、 私を置いてさっさと 職員室に入って行った。
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