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軽快な電子ミシンの音が、 広い部屋に響き渡っている。 放課後の家庭科室の一角で、 私と佐伯さんは黙々と 作業を続けていた。 文化祭の準備でもっと 混み合っているかと思ったけれど、 今日はまだ時間が早いのか、 部屋を使っているのは 私たちだけだった。 他のお化けメンバーは、 倉庫に木材や段ボールの 調達に出かけている。 「……あっ」 ガガガ、という大きな音を立て、 私の使っていたミシンが停止する。 「あーあ。 下糸、また絡まったあ。 ――んもーっ」 「ミシンが歪んでるのかも。 替えてみたら?」 「そうだね」 私は上糸をシュルシュルと外した。
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