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佐伯さんは恥ずかしそうな
顔をして、ちら、と
こちらを見た。
――か。
かわいいっ!!
これ……。
もし告白されたりしたら
迷わずOKするよ?私。
なんだか急に、二人きりで
家庭科室にいる事を
意識したりして。
「い、いいよもちろん。
じゃあ、私も……」
「うん……。
しほり、って呼んで?」
「……」
――かわいいいいいいいいっ!!
私は急に落ち着かなくなって、
そわそわしているうちに
黄色の上糸をカラン、と
床に落とした。
それを拾おうとして
足で蹴飛ばし、
拾おうとしてまた蹴飛ばし、
を3回ほど繰り返し、
広い部屋の一番端まで
移動してしまった。
「あれ?――あ、いた。
彩加ちゃん、急に
いなくなったから
びっくりしちゃった。
どこか行くの?」
「いや……行かない」
部屋の一番隅でやっと
糸を拾い上げ、席に
すごすごと戻る。
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