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「こっち終わったから、
そっちの、半分貸して」
しほりが天使のような
笑顔で手を差し出す。
見ると、彼女の分担作業は
全て終了していた。
「すごいね。しほりは。
何でもできるんだね。
調理実習の時も大活躍だったし。
すごくおいしかったもん、
筑前煮」
そう言いながら私は、
半分より少し多めに
自分の分担分を彼女に渡した。
「あ、あの時ね…、
彩加ちゃんすごくいっぱい
食べてたよね」
しほりは、思い出しながら
くすくす笑った。
こうして見ていると、
……なんだか、私とは
別の生き物みたいだ。
柔らかくて、ほんわりした
空気をまとって……。
美しい彼女の中にはきっと、
嫉妬心やイジワル心みたいな、
黒い物は混ざっていないのだろう。
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