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調子の悪い電子ミシンを片付け、
並んだミシンの中から
比較的新しそうなものを選ぶ。
ミシン糸のセットを終え、
わたしは布を取り出した。
縫い始めの位置に針を落とし、
スタートボタンを押す。
なんでだろう。
……なんで、こんなに苦しい
気持ちになってるんだろう。
「――それであいつ、
なんだって?」
「え?」
「あ、……さっきの、田辺の話。
告白して、どうだったのかなあって」
私はあえて
からかうような口調で言った。
「うん……」
しほりは作業を続けながら、
小さな声で言った。
「ちょっと、
考えさせてほしいって」
「えっ!?」
驚いて咄嗟にミシンを停止する。
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