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しかも、――兄の語る物語は
可愛いラブストーリー、
と言うよりは……。
平凡な女子高生が、
次第にストーカーへと変
貌していく姿を描いた
バイオレンスアクションじゃん??
考えているうちに
怒りがじわじわとこみ上げ、
血が沸騰し始める。
――どうやって兄をやっつけよう……。
ひと思いにと言うよりは……
真綿で首を絞めるように、
じわじわと苦しめてやりたい。
まずは逃げられないよう、
部屋の鍵を閉めて携帯を折って
外部との通信手段を断って――。
兄への復讐の方法を
バイオレンス調にあれこれ
考えていると、金づちの音が
再び途切れた。
「あのさ。
――俺、佐伯の告白、断ったから」
「……え」
私は間抜けに
ぽかんと口を開けた。
「なんで」
「俺が好きなの、お前だもん」
「……」
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