†はじめのチョコレート†

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授業もそこそこに、気づけば私は近所の高校の敷地内にいた。 「わたし、なにやってんだろ……早く家に帰らなきゃ」 帰ろうと踵を返したそのときだった。 「ごめん、ボール取ってくれない?」 私はすぐそこに転がったバスケットボールが目に入り、両手で拾った。 「すみません、これ――」 振り返ると、そこには身長の高い少年が立っていた。髪の毛は嫌味な感じではなくセットされていて、汗のせいか少し乱れている。バスケット選手が着るユニフォームを着ているから、バスケ部なのだろう。 スラッとした立ち居振る舞いと、何よりパッチリした二重が印象的な甘い顔。人懐っこそうな顔だ。 「あの……?」 あまりにみとれてしまい、不審がられた。 「ごめんなさい!ボールですよね……!」 彼に渡そうとした瞬間、指が触れてしまった。 「あっ――」 バッチリ瞳が、合う。
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