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小一時間、じゃないけれど、私と彼はみつめあった。
しかし彼を呼ぶ声で夢から醒めてしまった。
「慶太!何やってんだー?ボール持ってこいよ」
「あ、すみません!」
ハッとしたように彼――『慶太』は私の手からボールを取り、それじゃ、と去っていきかけた、が。
ふいに、私の意識が遠退く。
このままじゃ、倒れ――。
とっさに慶太の裾をつかんだまま、私は、意識を失った。
目が覚めると、そこは知らない保健室。
「あれ……わた…し……」
隣には、さっきの少年『慶太』がいた。
「あなたは……さっきの?」
「大丈夫?」
「えっ……」
わたしは戸惑う。まさか出会ったばかりの彼にこんな言葉をかけられるなんて。
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