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「はい。とりあえずは……」
わたしがそういうと、慶太はくしゃっと笑って頭をかいた。
「さっきは大変だったんだ。君が倒れるから……」
慶太の言葉に、私は恥ずかしくなって謝った。
「いいよ。過ぎたことだし。俺も恥ずかしかったけど」
「……?」
顔を赤くして困っている慶太。その言葉の意味はよくわからなかったけど、照れる彼がとても可愛かった。
「それじゃあ、まだ試合あるから……いくね」
去っていこうとする彼の裾を私はとっさに掴んでいた。
少しぎょっとしたように振り返る彼。
「どうし……」
私はなぜかわからないけど自分の名前を教えていた。そして……
「あなたは……なんていうの?」
「俺?俺は……慶太。倉橋慶太」
それが、彼との出会いだった。
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