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「…でも…」
相良先輩の顔を思い浮かべる。
「……ずっと、
憧れてたんですよ?
中学1年生の頃から。
先輩に似合う女の子になろうって、
一生懸命頑張って。
やっと雲の上の存在だった人に、
好きって言ってもらえたのに……」
「大事なのはさ」
先生が本から顔を上げ、私を見た。
「大事なのは……
そこじゃないんじゃない?」
「……」
春山先生は本をパタンと閉じ、
それを本棚に戻してから
くるりと出口に向かった。
「まあ、自分で決める事だけどさ。
……失くしてから気付くと、
相当キツイよ?
後悔だけはしないように、ね」
図書室の引き戸が、
ピシャ、と閉まる。
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