-3-

17/23
前へ
/32ページ
次へ
私は、その場から 立ち上がることが出来なかった。 ――失くしてから、気付く――。 誰を?先輩を? ――田辺を? 私は無意識に、 指先で自分の唇に触れていた。 いつもバカばっかり、 言ってるくせに……。 田辺のキスは力強くて…… すごく、優しかった。 私の肩には、たった今 先輩に抱きしめられた感触よりも、 田辺の大きな手の感触の方が 強く残っていた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加