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夕飯を食べている間、
私は由紀也兄ちゃんと
全く目を合わせなかった。
「お、これおいしい!!
なあ、彩加!!」
「……」
「なんていうのかな、この
きゅうりの歯ごたえがぷりっと」
「……」
黙々とご飯を口に運び、
必死なご機嫌取りにも
一切反応しない。
「本当?嬉しいな。
じゃあ、ママの分もあげるわね」
母はこの空気に
気付いていないようで、
ニコニコ笑顔で兄ちゃんの皿に
ポテトサラダを移し替えている。
「ごちそうさま」
わざと音を立てて立ち上がると、
由紀也兄ちゃんの体が
椅子からびくっと浮いた。
自分の食器を片付け、さ
っさと階段を上がる。
そして15分後。
案の定、お兄ちゃんは
わたしの部屋の扉をノックした。
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