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机に向かおうとして、 ――ふとカーテンの向こうが 気になって、膝立ちで ベッドに上がる。 カーテンの隙間から こっそり覗いてみたけれど、 先輩の部屋には灯りが 点いていなかった。 ――どうして、こんなに もやもやしてるんだろう。   中1の時から積み重ねて来た、 キラキラの片思い。 とても大切な、 私の5年間の初恋。 それがやっと叶ったのに。 あの相良先輩が、 わたしを好きだと 言ってくれたのに。 ただのクラスメイトのはずの 田辺のせいでこんなにも、 ……揺れてる。 『……俺にしとけって』 熱い瞳。力強い腕。 ……ずるいよ、田辺。 あんたがあんなことするから、 ――思い出すだけで ドキドキしちゃって……。 冷静に物を考える事が、 出来ないよ……。
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