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実際に開店してみると、 お化け屋敷は思った以上に 好評だった。 手をつなぐ口実が欲しいのか、 やけに出来たての初々しいカップルが 多い事にはイラッっとしたが、 そのおかげで私の迫力は倍増し、 逃げまどう人々に襲いかかるのは 癖になりそうなほど楽しかった。 真っ暗闇で隠れているのは やはり怖かったが、 トモコやアリス佐伯が交代で 一緒にいてくれたので、 何とかパニックにならずに 済んでいた。 暗幕の裏に隠れている時、 アリス佐伯が私にぽつりと言った。 「…わたし、振られちゃった」 「…そうなんだ」 私は、出来るだけさりげなく、 知らないふりをした。
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