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「…少し風が冷たいけど、
いい天気だね」
「はい」
緊張のあまり、
少し声が裏返ってしまった。
「あんまり時間がないから、
早速、本題ね」
先輩はくるりと
こちらに向き直った。
明るい日差しに包まれ、
その姿がきらきらと輝いて見える。
「実は、うちね。――今年の末に、
引っ越すことになったんだ」
「……」
……えっ……。
「ひっ……こし、ですか」
あまりの衝撃に、
思い切り素っ頓狂な声が出る。
「先輩が……おひっこし……」
「うん」
先輩は寂しそうに目線を落とした。
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