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「父の転勤が決まってね。
カナダに、行くことになった」
「カナダ……」
私の頭の中に、
真っ暗な闇がぽっかりと
口を開けた。
――カナダ、かあ……。
カナダって……
どこだっけ……。
こんな時なのに、なぜか
葉っぱのマークの国旗が
頭の中で揚々とはためいた。
頭がぐらぐらとして、
思考が現実からどんどん
離れて行こうとする。
隣に先輩が住んでいない未来なんて、
想像するのも怖かった。
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