橘  典子

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土曜日だというのに外はどしゃ降り。 折角の休みなのにこの状態なせいか、私の機嫌も良く無かった。 「“悪い、疲れてるから”とか言ってさ、背中向けてグーグー寝るのって無いわ。独身の男と女が同じベッドでその状態って早くも終わってない?誰も会えば抱けとか言わないわよ。でもさ、するべき事とかあると思うんだよね」 「するべき事?」 「腕枕とか、こう、色々あるでしょ?その後可愛く背中に擦り寄ってみたけど無反応よ、かわいそう過ぎる。そういう男って、どうよ?」 私が目の前のウィンナーにフォークを突きたてながら言うのと同時に、壮大な溜息が目の前から聞こえてきた。 「どうよ?って俺だろ、それ。悪かったよ」 目の前の無愛想な男は眉を吊り上げたまま、それだけ言うと席を立った。 別に不機嫌になったわけじゃないのはわかってる。崇はいつもそんな感じだ。 私は何でも崇に喋る。崇は大抵黙って聞いてくれる。 たまにガツンと忠告されたりもするけれど、そういう関係が私には心地いい。 腹に溜めてるのが性に合わないというか、出来ないタチなんだよね。 「典子、今日はどうする?行くのか?」 そう言いながら、崇は外を指差した。 今日は服を買いに行きたかったんだけど、この降りだし外に出たくない。 「やめよっか。また今度にしよ」 「いいのか?」 「うん」 今日は高校で仲が良かった4人で、久々に飲み会をする。着ていく服でも買おうかなと思ってたけれど、まぁいいや。 土日休みの今日は崇も休日出勤しないらしいし。まったり1日一緒にいるのも良い気がする。
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