高峰 章吾 - 弐 -

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熊谷が俺の事を把握しているのと同様、俺だって熊谷の事はわかってるつもりだ。 お前結婚願望強かったろうが。早く結婚したいって言ってたのに、いつから気が変わった? 「高峰どうした?やっぱりノンアルコールは味気ないか?」 桐生の問いに“まぁね”と素っ気なく返す。 そう言えば桐生って結婚願望は無かったんだよな。かなり前に聞いた話だが。 でも生真面目なコイツの事だ、いずれはちゃんとするだろう。 高見は良くわからんが、三崎を大事にしてるようだし、結婚もあるのかも知れない。 じゃあ俺は?と言われると、これが自分でもわからん。 来るもの拒まず去る者追わず。そんなつもりは無かったが、結果そうなっちゃってるし。 とりあえずさっきの何気ない熊谷の台詞は・・・何となく気にいらねーな。 気付けば二次会もお開きとなった。新婚旅行の関係で朝早いのを皆知っていた為、三次会なんて流れにはならずに解散となった。 盛り上がって別の場所を求めて消えていくメンバーもいたが、殆どが同じ方向同士で固まり、タクシーの中へ消えていく。 その中に紛れて消えていきそうな熊谷の腕をグイッと引き寄せた。 「お前は俺のマンション。拒否権無し」 「はっ!?」 「何帰る気でいるんだよ。当然だろ。何?明日用事でもあんの?」 「いや、無いですけど」 じゃあ決まりな、と強引にタクシーへと押しこんで、皆と別れた。運転手に行き先を告げるとタクシーは動き出す。 何故かタクシーの中ではお互い無言だった。いや、俺の機嫌が良くないのを熊谷が勘付いて、こんな空気になってるのはわかってる。
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