高峰 章吾 - 弐 -

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「脱がしたいというか、回したいというか」 「回したいって・・・もしかしてお代官様ごっこ?本当、馬鹿な事好きですよね高峰さんって。あ、何か服借りれますか?」 「ああ、勿論。お前さぁ、いい加減2人の時は敬語やめりゃいいのに」 「なかなか抜けないんですよね」 ふざけたい気持ちは置いといて、ずっと着物姿は疲れるだろうと帯を緩めるのを手伝う。意外と頑丈に結んでるもんだな。 「これ、回るとしたら絶対女の協力がいるな・・・。実は町娘も嫌がりつつその気なんじゃねーか。ただのドMって事か」 「変な解釈しないで下さい」 シュルリと帯は解けるが、何だ?良くわからんが絹の紐みたいなので結ばれてたりゴムみたいなやつで留めてあったり。 帯を解くのだけ手伝い、俺は引き出しから適当なTシャツやスウェットを出してテーブルに置く。 「これ使えよ。風呂沸かしてくるわ」 そう言って浴室へと消えた。俺が再びリビングへと戻った時には渡したTシャツ姿の熊谷が、着物を丁寧に畳んでいた。 そのまま熊谷の前を横切り、すぐ脇のソファーへと腰掛ける。 「なぁ熊谷。お前さ、二次会で“結婚とか考えてない”みたいな事言ってたろ」 俺の台詞にピクリと反応するが、表情は特に変えない熊谷。 「まぁ何となく?話に合わせただけですよ」 「へぇ・・・」 何となく、ねぇ?俺がジッと見つめると、熊谷は戸惑うような表情に変わっていった。 「何ですか?今は考えられないだけです。変ですか?」
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