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***** カラオケ店の前には、 自転車が溢れていた。 どこに停めればいいか 迷っていると、 田辺が息を切らしながら 追いついて来た。 「おま……、ほんと……、鬼……」 ゼエゼエしている田辺を尻目に、 私は少し離れたラーメン屋の前に 自転車を停めに行った。 電柱の側でスタンドを立て、 鍵を抜く。 振り返ると、田辺が すぐ側に立っていた。 「何?」 「ラーメン、食う?」 「え?」 田辺は、ニッと笑って、 「奈良崎、お化けの中で 一番頑張ってたから、 MVP賞でおごってやるよ」 「え……いいよ、悪いから」 「バイト代入ったから 遠慮すんなって。行くぞっ」 田辺はそう言って、さっさと ラーメン屋に入って行った。
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