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カラオケ店の前には、
自転車が溢れていた。
どこに停めればいいか
迷っていると、
田辺が息を切らしながら
追いついて来た。
「おま……、ほんと……、鬼……」
ゼエゼエしている田辺を尻目に、
私は少し離れたラーメン屋の前に
自転車を停めに行った。
電柱の側でスタンドを立て、
鍵を抜く。
振り返ると、田辺が
すぐ側に立っていた。
「何?」
「ラーメン、食う?」
「え?」
田辺は、ニッと笑って、
「奈良崎、お化けの中で
一番頑張ってたから、
MVP賞でおごってやるよ」
「え……いいよ、悪いから」
「バイト代入ったから
遠慮すんなって。行くぞっ」
田辺はそう言って、さっさと
ラーメン屋に入って行った。
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