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田辺の指が、頬に触れる。 田辺の息が、微かにかかる。 田辺の瞳が、私を見つめる。 たなべの――。 「ぅおし、出来たっ!」 私は目を開けた。 目の前には、 満足げな田辺の笑顔。 立ち上がり、姿見を覗き込んで―― わたしは長いため息をついた。 「ほれっどうよ!今日も完璧だろ!」 脱力したままじろっと田辺を睨み、 「もう見なれたわよ自分でも……。 だけどさ」 私はビシッとおでこを指差した。
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