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「あの……ごめ……っ」
「こっちこそ、わりぃ」
目を伏せ、
くるりと背中を向ける。
そのままロッカーに向かい、
荷物を片付け始めた背中に、
――声をかけたいのに、
かける言葉が見つからない。
しほりの言葉が、
私の足を、口を、
がんじがらめに縛りつけていた。
『田辺くんが自分を
諦めることは無いって……
どこかで期待してるんじゃないの?』
本当に、私はずるい。
しほりの言う通り。
今、私がしてあげなきゃ
いけないのは……。
ちゃんと、田辺を
自由にしてあげることだ。
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