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「……今からね」
私は、努めて明るく言った。
「先輩に、告白の返事、
しにいくんだ」
田辺の動きが止まった。
「一緒にキャンプファイア見てほしいって、
……言ってくれて……」
私は、俯いたまま、言った。
「って、……お兄ちゃんから
聞いてるんだよね。
いちいち報告することでもないか」
てへへ、と笑い、こちらに
向けられたままの背中から
目を逸らす。
「ずっと、憧れてた人なんだ。
だから、私……」
「行くなよ」
「……」
顔を向けると、田辺は
真っ直ぐにこちらを見ていた。
ゆっくり足を踏み出し、
近づいてくる。
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