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真っ暗闇の中、後ろから
定期的に聞こえる
「はあ」
という重いため息。
私はその度にいちいち
ピクリと反応する。
恐る恐る視線を後ろに向けると、
――暗がりに浮かび上がる、
水色のサテンの光沢。
――ヒイッ……。
暗幕の裏にスタンバイする私の
すぐ後ろに、補助役として
アリス佐伯が立っている。
……うん。これ……拷問だわ。
背後からの無言の
プレッシャーに、私は
さっきから必死で耐えていた。
……もう、限界……。
私は思い切って振り返った。
「しほり、あのさ」
「話したくない」
「……」
バッサリ。
私は仕方なく、すごすごと前を向いた。
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