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私は……。
たまたま、ずっと席が隣同士で。
たまたま、田辺がよく
消しゴムを忘れる人で、
たまたま田辺が私の事、
好きになってくれて。
――それだけの、関係。
そして今日、
先輩の『彼女』になる私は、
……田辺にとって、単なる
クラスメイトの一人に、戻る。
……単なる……。
「……」
私は、胸元を押さえた。
そう考えただけで、
心がざっくりと
切り取られるようだった。
その感覚に、愕然とする。
――私……。
本当にそれで、いいの?
このまま、田辺の手を振り払って。
――こんな風に終わらせて、
本当にいいの?
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