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涙が止まらなかった。 自分の一生懸命な初恋を思い出して、 後から後から涙が溢れて来る。 ――私、力いっぱい 先輩の事を好きだった。 幼い、ただの 憧れだったかもしれない。 恋に恋をして、 夢見心地でいた だけだったのかもしれない。 それでも、私にとって この気持ちは……。 こっそり引き出しに 仕舞いこんだ、 あのテニスボールと一緒に、 大切に引出の中に 隠し続けてきた、 一番の宝物だった。 あの頃の、何も知らない、 幼い中学1年生だった 私はきっと……。 片思いの甘さや苦さを知る事で、 少しだけ、大人になる事が出来た。
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