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「行ってあげな、彩加ちゃん」
私は手の甲で目をこすった。
目の周りがひりひりして痛い。
絶対、真っ赤に腫れて、
この上なく不細工な顔してる。
先輩は少し冷えた手で、
腫れぼったく火照った
私の頬を撫でた。
「俺、もう少し早く、
自分の気持ちに気付けば
よかったのかな。
……いや……」
ふ、と笑って、
「きっと結果はおんなじだな。
……彩加ちゃんは遅かれ早かれ、
田辺くんのこと好きに
なってたと思うよ。
……だって……。
一緒にいると、なぜか
自分の事好きになれる、なんて相手、
そう簡単には見つからないからね。
悔しいけど、勝てそうにないな」
先輩はそう言って、
私の頭をポンポン、
と優しく叩いた。
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